しかし、専業主婦ブームは家庭にとって、メリットばかりではなく、デメリットもあります。例えば、ずっと家に閉じこもっている専業主婦たち、人とのコミュニケーションが少なくなり、いろいろな心理問題が生じやすいのです。ストレスがたまってうつ病にかかる人もいます。特に、育児への不安が重なって、精神的に落ち込んだり、不安定になったりする専業主婦は、日本でも多く、社会問題にもなっていますね。家族の理解や、そうした人たちを支えあう地域社会づくりの取り組みが、日本では少しずつ進んでいますね。
また、旦那さんの給料で暮らし、旦那さんに養ってもらうため、何の文句も言えないと思っている奥さんも少なくありません。家庭での地位がますます低くなり、自信を失う恐れもあります。また、今の中国では、社会保障制度が日本などの先進国ほど健全化しておらず、仕事がないと、社会保険や養老金、退職金(つまり年金)がなくて、老後になると、いろいろなリスクにぶつかりますね。
日本では、昭和61年から専業主婦も国民年金の加入者という扱いになり、年金の受給資格ができたが、働いていた女性と比べると、その額は少ないのが、現状です。老後に備えての生活設計が必要になりますね。
世界全体としては、女性の社会進出という大きな流れがありますが、一方で社会の中での男女の役割分担について、改めて、見直しの時期に来ているというのも事実です。社会として、この問題をどのように考えるのか、夫婦としてどう考えるのか、女性としてどう考えるのか、理想と現実の中で、その選択が問われる時代になってきているようですね。
キャリアウーマンにしても、専業主婦にしても、個人の意志で決めるべきですね。家族のために自分を犠牲にする奥さんや母親たちは本当に偉いんですが、女性としての社会価値や独立性を失ってはいけないと思いますね。(2月28日オンエア「イキイキ中国」より)