一方、復興特需にわく宮城県と対照的に、静けさが漂っているのは、震災当時、福島第一原発事故の影響をもろに受けた福島県だ。基本的な復興作業である住宅の除染作業も、今年2月の時点で、わずか15.9%にとどまっている。また、県民の健康管理や農林水産業の生産回復、中小企業の振興なども大きな課題だが、どれも見えない放射能との戦いを背景に困難を極めている。
原発事故をめぐり、政府の対応の遅れや政策の不明瞭さを背景に、改善する気配のない現状に堪忍袋の緒が切れ、他県へと移動する現地の人々が増加している。被災者らは、自分の家に戻るより、公共設備が整い、生活も便利な仮設住宅のほうが良いと感じるのだ。
統計によると、福島の住民のうち少なくとも6万人が県外に避難しており、5年以内は「帰宅」するのが難しいという。一方、ある調査では、同県の若者の3分の1がすでに実家を後にした。その主な原因は、放射能が体に与える影響への恐怖だ。若者が同県を去っているということは、未来を支える若い人材が流出してしまっているということである。一方、留まっているのは高齢者が多く、これもまた同県の復興に新たな課題を与えている。
今のスピードで人口流出が進めば、30年後には同県の人口の約37%に当たる73万人が流出すると試算する専門家もいる。
「人民網日本語版」
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