経済面を見ると、大幅な円安は日系企業の産業チェーンにおける競争力を高める。そのため日本と東アジア諸国の経済競争関係が激化することになる。産業分業を見ると、韓国が初めに深刻な影響を受ける。韓国の電子製品と自動車は、世界市場で日本製品と直接的な競合関係にあるからだ。圧力を緩和するため、ウォンが持続的かつ大幅な円安を容認するか、人民元がその後どのような動きに出るかが問題になる。
さらに、円安は東南アジアに利益をもたらす。製造業の東南アジアシフトが近年のすう勢となっており、東南アジアは中国製品の主な競合相手となっている。東南アジア諸国には、日本企業の多くの受託生産企業が存在する。これらの企業は日本企業の川下、つまり日本製品の市場に位置する。キヤノン、ホンダ、ニコン、ソニーなどはタイやフィリピンに生産拠点を設立している。彼らにとって、円安による利益は弊害を上回る。調達コストを削減すると同時に、日系企業の市場拡大により新規受注を獲得できるからだ。
また円安が中国の産業アップグレードを狙撃することに注意が必要だ。日本と中国は貿易の相互補完性が高く競争性が低いため、円安は中国の日本製品輸入、および中国人による日本での消費を促す。しかし中国はアップグレードの重要な時期に差し掛かっており、円安により巨大な圧力を被ることになる。
世界的な為替相場低下と流動性の氾濫が今年発生する可能性が高く、人民元がその逃げ場になるか否かは特に重要だ。大量のホットマネーが流入した場合、中国の資産市場のバブルが形成され、見せかけの経済収益が拡大し、実業投資に打撃を与える。
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