普段と違う点は、最近の北京市の賃貸価格上昇の勢いが、不動産価格上昇の勢いに引けを取らないということだ。たとえば、国家統計局の調査によると、今年3月には北京市の新築居住用物件の価格が前年同月比2.9%上昇し、賃貸価格の上昇率8.4%を明らかに下回った。北京の不動産賃貸はどうなってしまったのだろうか。おおまかにいって、次のような原因を挙げることができる。
(1)北京市の不動産賃貸ニーズが旺盛であること。これは2つの側面に分けられる。一つは、最近は北京市の不動産価格が急速に上昇し、市民の収入では追いつかなくなっていることから、購入ニーズが抑えられ、賃貸ニーズが促進されたという側面だ。もう一つは、最近になって市外から大量の人口が流入したという側面だ。過去10年間、北京市の人口の年平均増加数は60万人に迫った。このうち市外からの流入人口が常住人口全体に占める割合は36%に達した。流入人口のほとんどは家を買うことができず、借りるしかない状況だ。
(2)調整政策が実施されると、決まって不動産賃貸価格が上昇する。こうした現象が明らかで、多くの場合、新たな調整政策がうち出されると、購入希望者の一部が様子見の態度を取り、購入の動きが止まるため、賃貸ニーズが一時的に大幅に増加することになる。長期にわたる観察によれば、過去数年間にわたって行われた投機的な住宅購入ニーズの持続的な制御措置により、複数の住宅を所有しようとするニーズがある程度抑制されたことは確かだ。これはつまり、貸し出しに回せる新規物件の供給量の伸びが(抑制措置が本格的に始動する前の)2009年より低下したということだ。供給量の伸びが小さくなった一方で、需要の伸びが大きくなり、賃貸料は当然のように値上がりした。
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