第1に、中国・スイスFTAによって両国の経済貿易協力の幅が広がる。中国とスイスの経済貿易は補完性が競争性を上回る。中国は世界最大の発展途上国で、巨大な市場需要と潜在的発展力を備える。一部製造業も競争力が極めて高い。スイスは欧州の先進国で、十分な科学技術力と産業優位を備え、ファインケミカル、時計製造、精密機械分野で特に優位にある。高い経済的補完性によって両国の経済貿易関係は長年健全で落ち着いた発展を維持し、相互貿易額は国交樹立当初の680万ドルから2011年には過去最高の308億ドルにまで増えた。欧州債務危機がくすぶり続け、世界経済が混迷するというマイナス要因に見舞われた2012年でも依然263億ドルに達した。スイスにとって中国はアジア最大の貿易パートナーであり、中国にとってスイスは欧州第7の貿易パートナーおよび第6の外資導入元だ。杜哲巍駐スイス大使によると、現在までにスイス企業約400社が中国に支社などを900余り設立した。スイス企業ネスレは中国に33カ所の工場を設立し、5万人余りの従業員を雇用している。ノバルティスとABBも中国業務が好調だ。
第2に、スイスは自らの直面する試練に対処するために、中国という最も潜在力を備える「世界市場」を急いで必要としている。スイスは国内市場が小さく、十分な販売チャネルを見いだすのが困難なため、輸出が産業の全体的戦略となっている。近年、EUと米国のFTA交渉が加速している。スイスにとってEUは最大の貿易パートナー、米国は第2の貿易パートナーであるため、EUと米国のFTAが締結されれば、ハイエンド製造業センター、ハイエンド製造業研究開発センターとしての地位が弱まる。スイスは新興国を中心に二国間および地域FTAの締結を通じて企業競争力を高め、持続可能な経済成長を促すことを急いで必要としている。
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