年に一度のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)がシンガポールのシャングリラホテルで5月31日から6月2日の日程で開催され、30カ国の国防相と政府要人が地域の安全保障情勢その他安全保障上の重大関心事について率直な意見交換を行なっている。衝突や論戦もあるが、基調は戦略面の相互信頼の強化、地域の平和構築であり、間もなく行なわれる中米首脳会談および両国による新型の大国間関係の構築も焦点となっている。
ベトナムのグエン・タン・ズン首相は開幕式の基調演説で、戦略面の相互信頼の構築が地域の平和・安全保障にとって重要な意義を持つことを重点的に強調。地域と世界の将来において米中はより重要な役割を果たすべきだと特に言及した。ヘーゲル米国防長官は1日の演説で、中国との積極的、建設的な関係の構築は米国の「アジア太平洋リバランス」戦略にとって必要なことだと指摘。「米国は繁栄する中国を歓迎し、支持する。中国の成功は地域的、世界的問題の解決に資する」と述べて、地域と世界の平和・安定に対する中米関係の重要性を一層明確に指摘した。
「今回のアジア安全保障会議でも中国に関する話題が引き続き大部分の討論を主導する」。シンガポール国立大学アジア・グローバル化研究所の黄靖所長は本紙記者の取材に「これまでのアジア安全保障会議と比較すると今回の会議で南中国海問題は絶えず煽り立てる人はいるものの、主要な注目点とはなっていない。グエン・タン・ズン首相の基調演説も、ヘーゲル長官の演説も、日本の小野寺五典防衛相の演説も、南中国海問題を重点にしなかった」と指摘した。
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