実際、「フォーチュン」の最も利益を上げた企業ランキングであれ、中国銀行間取引市場の大規模な資金不足であれ、一つの問題を物語っている。それは中国銀行はもしかしたら「盛世危言」(繁栄の最中の滅亡の予言)に直面しているのかもしれないという問題だ。
理屈は簡単なことだ。流動性から考えて、少なくとも中国人民銀行が発表するデータをみると、中国に最も不足していないものは資金だと思われる。同行がまとめた統計データによると、今年5月の広義マネーサプライ(M2)の前年同月比増加率は15.8%と依然高く、人民元預金残高も100兆元の大台に迫っている。中国の流動性に問題がないことは確実で、少なくとも大きな問題はないといえる。同行も、各銀行が資金不足に陥ってはいないこと、不足しているのは資金の投入をめぐる構造的な管理とバランスの問題だということをはっきりわかっている。
利益をみると、中国では鉄鋼、造船、太陽光発電、石炭など多くの産業が経営危機に陥っており、こうした産業そのものに過剰な生産能力といった多くの問題が存在することは否定できない。とはいえ銀行が経済低迷の中、引き続き同じ調子で利益を上げ、利益をめぐって一人勝ちしていることから、少なくとも中国の銀行が中国の実体経済と「苦楽をともにしない」ことがわかる。また中国の実体経済が一気に不振に陥りながら、中国の銀行が引き続き相当の利益を上げることは想像しにくい。
あるアナリストが資金不足について述べたところによると、米国が通貨緩和政策から撤退するとのシグナルを発したことで、発展途上国の通貨安の期待が高まり、これまで大規模に流入していたが利ざや狙いのホットマネーが回流し、その衝撃が現れ始めた。資金不足をもたらした真の原因は、やはり現在の銀行の経営モデルと考え方であり、中国の銀行間の無秩序な競争の発展が資金不足をもたらしたのではないかという。
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