この覚書の署名は、日韓両国を結びつけようとする米国の努力によるものだった。米日韓にとって、朝鮮半島の核問題に対応する情報共有の協定を締結する必要性は、それほど高くない。今は朝鮮半島情勢が最も緊張している時期ではない。これまで3カ国の情報共有協定がなくても、米日韓の朝鮮半島問題への対応にはそれほど大きな問題が生じなかった。ゆえに朝鮮半島の核問題は同覚書の「公の理由」であり、「真の原因」ではない。この覚書は、米国の「アジア太平洋リバランス戦略」の需要に従ったものだ。これは米国のアジア太平洋戦略が勢いを弱める中、同盟国の信頼を再び喚起し、リバランス戦略を推進中であることを強調し、同盟国間の協力の強化を続けていることを示す政策的な取り組みだ。しかし現実的な条件が不十分であることから、米国のこの政策的な取り組みは小幅前進を選択し、協力の水準を引き下げたが、ともあれ前進していることを示した。
同覚書は客観的に見て、次の効果を生む。(1)韓国がより緊密に米日の戦略と結びつく。米日は韓国の安全事業に対する影響力を強化する。これには米国が積極的に推進中の、ミサイル防衛システムの建設が含まれる。(2)同覚書は日本の軍事大国化、集団的自衛権の行使に便利なドアを開く可能性がある。日本は類似する協定を利用し、政治右傾化と国の「正常化」の道を前進し続ける。(3)同覚書は中韓の安全協力をある程度けん制し、地域の安全勢力の分布を固定化させる。地域の安全協力の雰囲気を損ねることで、同地域の国家間の対立構造を確固たるものにする。
全体的に見て、この情報共有に関する覚書の署名は、北東アジアの安全にとってそれほど建設的ではない。同覚書は条件を引き下げることで署名を実現したが、これは韓国国内に大きな反発が存在することを示している。これはまた、日韓が米国を仲介者として軍事安全協力を強化する上で、深い構造的な障害が存在することを示している。中国がパートナーシップのネットワークの建設を推進し、中韓関係が安定的に発展する中、同覚書の持つ効果はせいぜい戦術的なものに限られている。同覚書は米国のアジア太平洋リバランス戦略の効果を拡大せず、日本の北東アジアにおける戦略的な孤立状態を実質的に打破することもない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
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