安倍首相が衆議院で直面する抵抗力は最小と言うべきだ。2014年末の衆院選で、自民党は475議席のうち291議席を占め、これに保守的な維新の党の41議席が加われば、3分の2以上の得票数は難しくない。しかしその後の参議院については、自民党にとって有利ではない。2013年の参院選で、自民党は予想されていた圧勝には至らなかった。維新の党と公明党の議席数を加えても、3分の2以上の得票数との間には一定の開きがある。ゆえに安倍首相は各党との意思疎通と連携を積極的に進め、また今後の参議院の改選に備え、改憲に有利な政治構造を手にしなければならない。
安倍首相の目論見は、当然ながらこれだけに留まらない。まだ遠い先の話である国民投票についても、安倍首相は先んじて手配りを進めている。2013年6月には国民投票法の改正案が可決され、4年後から国民投票の年齢を満20歳から満18歳に引き下げることになった。これは安倍首相に十分な数の新世代の有権者をもたらす。近年「平和憲法」を堅持する日本の高齢者の数が少なくなりつつあり、若い世代が社会の主流になろうとしている。新世代の人々にとって、戦争はすでに「過去形」になっており、戦争反省の責任は彼らと無関係だ。この認識により、日本政府と親しい各主要メディアは、日本が戦後レジームの束縛を受けてきたとする論調をこぞって展開しており、日本社会の各細胞の中に浸透しつつある。この流れが長引けば、これらの論調は最終的に、「主流の共通認識」になる可能性がある。
ゆえに安倍首相の動きは、日本国内の改憲反対派を飲み込もうとしている。安倍首相の戦線は「小幅前進」を続けており、レッドラインの突破が「慣例化」しつつある。また安倍首相はそれと同時に煙幕を張り、敵対勢力を麻痺させようとしている。さらに重要なことは、米国がこの過程を黙認する態度を示していることだ。米国にとって、自国の相対的な実力の低下は不可避だ。これによって日本の東アジアにおける戦略的意義が強まっており、米国はコントロール可能な範囲内で手を緩めることを選択した。こうして安倍首相の改憲の空間は、自ずとこれまでよりも大幅に拡大された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」
|