市場での円相場は、このほど1元=20円を超え、13年ぶりの最安値を記録した。「アベノミクス」の特効薬として、円安は日本経済の復興のためのカンフル剤となってきた。しかし、在日中国人70万人にとっては、「ある人は憂い、ある人は喜ぶ」といった悲喜こもごもな状況となっている。人民日報海外版が伝えた。
■資産が目減り中国人「言葉にするのは難しい」
円安によって持ち込んだ資産が目減りしてしまう現象が起きている。特に、中国人の出稼ぎ労働者が被害をこうむっている。日本在住のある出稼ぎ労働者は、「多くの日系企業は優秀な外国人を雇用することを希望している。しかし、日本の給料を人民元に変換すると価値が下がってしまうため、中国人にとって日本企業の魅力はますます弱まっている。このような状況下では、北京や上海、広州で働いたほうがましだ」と語る。厚生労働省が4月に発表したデータによると、2014年度の働く人1人あたりの「実質賃金」が前年比3.0%減少し、史上最大の減少幅となった。
日本の東北大学で科学研究の仕事をしている張勇捷さんの月給は約40万円だが、円安によって資産が目減りしたという。張勇捷さんは、「人民元に変換すると、2万元にも満たず、過去2年間に比べて25%も減少した。特に、家族にお金を送金すると、手持ち資金が一気に心もとなくなる」と語る。また、円安による原材料価格の高騰や物流費用の価格上昇が中国人に困難をもたらしている。張勇捷さんは、「多くの中国人は日本の生鮮食品を食べ慣れない。しかし、地元にある中国物産店の販売価格が円安によって値上がりし、皆ジレンマに陥っている」と語る。
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