▽業績改善にマイナス
鎌田氏の退社は資生堂の中国での業績不振と関係があるとも考えられる。データによると、14年度の資生堂の中国市場での売上高は58億7800万元(1147億円)で前年比2.8%の増加にとどまり、世界全体の売上高に占める割合は14.8%だった。フランスの最大手ロレアルは約143億元(約2790億円)で同7.7%増加し、韓国最大手のアモーレパシフィックは26億1400万元(約510億円)で同44%増加した。米国の高級化粧品最大手のエスティローダーは中国での具体的な業績を明らかにしていないが、内部関係者によると、昨年は2けた成長を遂げたという。ライバルに比べ、資生堂の発展ペースは鈍化気味であることがわかる。
鎌田氏は昨年、「資生堂は中国市場では百貨店を主要販売ルートとしているが、百貨店という業態が谷間に入ると、資生堂の業績にも深刻な影響が出るようになった」と述べている。
鎌田氏と面識がある日用化学品のエンジェル投資家・夏天さんは、「鎌田氏は化粧品産業に関する専門性や中国化粧品市場の全体的把握という面で非常に豊富な経験を有する。資生堂の中国での業績が振るわないのは、資生堂の発展の遺伝子や権限の授受といった体制に問題があるのであり。上層部の管理能力に問題があるわけではない」と指摘する。
夏天さんは、「鎌田氏の退社は資生堂中国の業績にとってマイナスになる」と予想する。
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