高速鉄道争奪戦は、中日両国がアジアで影響力を示す主な形式になっている。
両国にはそれぞれの得失がある。中国はインドネシアの高速鉄道の競争で日本に勝ち、日本はインドの高速鉄道事業を受注した。双方は引き分けたと言える。
日本経済新聞によると、日本の安倍晋三首相のインド訪問中に、両国は価値にして147億ドルの高速鉄道の契約を交わした。契約内容によると、この高速鉄道はインド最大の都市ムンバイとグジャラート州のアーメダバード間を結ぶ。全長は505キロ、最高時速は320キロ。2017年着工、2023年竣工を予定。
注目すべきは、日本がインドで新幹線をPRしながら、他にもインフラ整備の野心を持つことだ。安倍政権はモディ首相に、投融資額が1兆5000億円に上るプロジェクトを示し、日本企業にインドの大型プロジェクトの建設に参加する機会をもたらした。
安倍首相は高速鉄道の他に、インドの民間用原子力発電プロジェクトへの参与を目指している。インドが核兵器の開発に取り組み、日本とインドの協力が途絶えていたためだ。日印安保協力は、安倍首相の重要な目標でもある。
客観的に見て、中日がアジアや世界各地で高速鉄道を巡る駆け引きを展開することは、悪いこととは限らない。これは他国の高速鉄道の建設と、両国の技術向上を促す。ただし両国の駆け引きが生存をかけた悪質な競争に変化すれば、双方とも痛手を負うことに注意が必要だ。さらに高速鉄道技術を「プレゼント」とし、地政学的な目論見を持つならば、中日の高速鉄道を巡る駆け引きは地政学的な争いに変化するだろう。これはより恐ろしいことだ。
例えば安倍首相は今回のインド訪問中、両国の安保協力を再び強調した。安倍首相は『ザ・タイムズ・オブ・インディア』に、「インドと日本、生まれつきの協力パートナー」と題した記事を掲載した。「中国の南中国海における軍事的台頭」を念頭に、日米印が協力を強化し海洋の安全を保障する。これは安倍首相の米日豪印による「安全保障ダイヤモンド」という古い構想の繰り返しだ。中国を邪推しているインドも当然ながら、外交の場で日本に調子を合わせ、より多くの経済的利益を手にしようとする。モディ首相は就任後、安倍首相と外交面で交流し、この現実主義的な立場を十分に示している。しかしアジアの大国であるインドという「巨象」は、一部の大国の道具になり中国の機嫌を損ねることはない。米国に対してもそうで、日本ならばなおさらだ。
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