『国際観察』:2013年ロシアとアメリカの中央アジア地域における争いは更にエスカレートするか?双方が欧州での対弾道ミサイル問題上分岐を解決する前途はいかなるものか?
張鉄鋼氏:米国とロシアは中央アジアと南コーカサス地域を戦略の要所としてみなしている。戦略分布から出発しても、やはり単にロシアを抑制するにしても、米国はこの地域を自分の勢力範囲に引き入れようと躍起になっている。しかしロシアは南コーカサスと中央アジア各国には引き離すことのできない歴史的つながりがあり、軍事上ではこれらの国を安全な障壁或いは戦略的バッファと見なしており、経済上ではこの一部の地域を潜在的市場或いはエネルギー資源において協力を行う「ミニ・パートナー」と見てとっている。そして中央アジアと南コーカサスの国々の大部分が「两面不得罪(双方ともに感情を害することをしない)」という実用主義的外交政策を採用している。新しい一年でロシアと米国双方には中央アジアと南コーカサス地域における水面下の暗闘が増えるだけだということを意味するだろう。
オバマ大統領が2008年も政権の座についてから、ロ米の両国関係を「再スタート」させる話に盛り上がり、その後の数年間核軍縮、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟、ビザ制度の簡略化などの問題では成果に富んだ協力を行ってきたが、ロシアの核心的な安全利益における欧州の対弾道ミサイル問題上の分岐に及んでは長いこと定まらず、米国はロシアに書面上の安全保証を提供することを再三拒否している。
事実上、ロシア側が求める書面上の保証には実質的な意義は大きくはないが、これは少なくともメンツであり、米国は却って一歩も後を譲らなかった。報復手段として、ロシアは昨年末宇宙防衛部隊を組織し、新しい『戦略攻撃兵器の削減および制限に関する条約』を撤回すると威嚇した。ロ米はシリアなどの問題上での立場が大きくかけ離れているのに加え、人権問題では真っ向から鋭く対立しており、ロシアと米国が「再スタート」する道は依然としてでこぼことしているのが見てとれ、欧州の対弾道ミサイルというこの主な矛盾が少なくとも来年に消え去ることは困難だろう。
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