第1に、この国際的場を利用して政治的陰謀を達成しようとする日本の妄想は、世界遺産保護の趣旨に完全に背いている。世界遺産選定の目的は、世界的に重要な価値を有する自然遺産および文化遺産の効果的な保護にある。一方、日本の申請の目的は、世界遺産保護の関連規則・規定を利用して、釣魚島周辺海域でわが国政府の行う正常な巡航・法執行活動を妨害し、釣魚島海域でのわが国漁民の正常な操業を制限しようという妄想である。日本が世界遺産登録申請、資源保護の名目を掲げながら、実際には世界遺産を政治化して、釣魚島に対するわが国の主権を侵害する新たな手管を弄そうとしていることは火を見るより明らかだ。
第2に、わが国の釣魚島を世界遺産登録申請の対象地域に含めようとする石垣市の企ては、世界遺産条約の最も基本的な要求に背いている。締約国が国連教育科学文化機関(ユネスコ)所属の世界遺産委員会に世界自然遺産および世界文化遺産の登録を申請する際の前提条件は、登録申請対象に対して主権を有することだ。対象地域・文化に対して主権を有さない場合は、登録申請はできないのだ。釣魚島が中国固有の領土であることは、十分な歴史的根拠、法理上の根拠によって証明されている。世界の目をごまかして欺瞞行為を働き、「奄美・琉球」の対象地域に釣魚島を潜り込ませて世界遺産に登録申請しようとする日本の企てはあからさまな主権侵害行為であり、世界自然遺産および世界文化遺産の登録申請の基本条件を備えず、全くの一方的な願望であり、法理上全く成り立たない。
第3に、たとえ世界自然遺産「奄美・琉球」の対象地域に釣魚島を入れて登録申請を強行したとしても、日本がその場をしのぐことはできない。申請が行われてひとたび手続きに入れば、世界遺産委員会およびその専門評価機関が申請地の主権帰属および世界遺産としての価値の有無について詳細な評価を行うからだ。2008年7月に世界遺産委員会はカンボジアの申請を承認し、カンボジアとタイの国境係争地域にあるプレアヴィヒア寺院を世界文化遺産に登録した。その結果、両国の領土紛争は急激にエスカレートし、一度は双方の軍隊が対峙する事態にもいたった。この教訓があるため、国連は係争地域の世界遺産登録に対して非常に慎重になるだろう。どさくさにまぎれて目的の達成を図る日本の考えは、全く実現不可能な夢想なのだ。実際には、世界遺産条約締約国である日本は釣魚島の登録の可能性について胸の内では良くわかっている。このような手管を弄するのは、釣魚島問題で引き続きもめ事を起こし、国際世論を誤った方向へ誘導しようとしているからに他ならない。
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