日中の歴代指導者が培ってきた両国の友好的雰囲気が今日破壊されたのには、大きく2つの原因があると考える。まず、新指導者が相手側の感じ方を理解できず、日中双方に意思疎通と理解が不足している。特に日本側は首相が頻繁に交代し、安倍晋三首相は二度目の登板だ。為政者はもっと相手の立場に立って考えてもらいたい。そうしてこそ理解を深めることができる。
私はすでに退官しており、日中関係がどのような段階にあるかを判定しても大きな意味はない。だが私は、経済、文化、安保分野で両国は関係が最も緊密な国であり、各々の主張によって関係が硬直化している現状は双方共に見たくないものだと考える。どの国にも様々な意見の人がいる。友好を主張する人もいれば、対立を望む人もいる。様々な主張の調整を図り、こうした調整を通じて他国との友好関係を実現することが指導者の役割だ。一国の指導者の知恵が試される時でもある。
「村山談話」に対する安倍首相の理解が最近、各界で議論の的となった。村山内閣は私が政治機構に身を置いた最後の内閣だ。日本による植民地支配を認め、侵略がアジア各国の人々に与えた極めて大きな傷についてお詫びする村山首相のやり方が、当時の三党連立政権の同意を得たこと、戦後50年にあたって日本人のあるべき反省や認識と一致していたことを私はよく分かっている。良識ある日本人なら誰もが「村山談話」に同意する。
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