黒田総裁が印刷した紙幣は、新たに発行される日本の政府債(70%)の購入、および東京証券取引所のETF(上場投資信託)に投じられる。
日銀が購入するのは、長中期利付国債だ。これにより円預金金利が、「鞘取引」が活力を取り戻す程度まで低下し、投資家が金利差により利益を得ることになる。借り入れる円でその他の経済国に投資するために、借り手は借り入れる円を売り出さなければならない。このような円の投げ売りは円相場を引き下げ、日本製品の輸出価格を引き下げる。輸出増加により日本経済が回復し、雇用が改善され、税収増加につながる。
この理論が功を奏することはあるだろうか。その可能性は絶対にない。
安倍首相と黒田総裁が日本経済の大胆な実験に着手してから、この計画がもたらした効果は予想に反するものだった。2013年上半期、円安により日本は史上最大の貿易赤字を記録した。円相場の下落に伴い、日本の輸入商品の価格が高騰し、そのペースは輸出増加のペースをはるかに上回った。
将来的に、日本の輸出が本当に増加することはあるだろうか。そのチャンスはなく、少なくとも持続的なものとはならない。これには二つの主因がある。(1)2013年までの円高により、日本の多くの伝統的な輸出企業は、生産ラインを海外の割安な場所に移した。多くの日本製品は事実上、中国、韓国、フィリピン、ベトナムで生産されている。ゆえに円安が、これらの商品の日本からの出荷量を増やすことはない。(2)他国は円安に対して報復を行う。他国は債務の金融化により、法定のマネーサプライを増加し、本国通貨の相場を下落させるだろう。
このような競争は最終的に、預金者の破産を招き、非常に高いインフレ率と巨大な資産バブルを生む。バブルが破裂した場合、2008年より深刻な不況に見舞われるだろう。
中国網日本語版(チャイナネット)」
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