代表選挙で岡田氏に敗北した細野豪志氏は、民主党内の「若手派」の代表者だ。この「若手派」は安保問題の政策で安倍首相と似通っており、一部の人は集団的自衛権の行使容認を唱えているほどだ。岡田氏が代表選挙で勝利したことで、政権交代により方向を見失った民主党の右傾化の加速を、一定期間阻止することができる。現状を見る限り、慰安婦などの問題で暴言を吐いた橋下徹氏が率いる維新の党と民主党の合併は、棚上げになりそうだ。
民主党代表の座を取り戻したベテランの岡田氏は、一連の厄介な問題に直面している。岡田氏は民主党の重鎮として、党内の要職を歴任してきたため、民主党衰退の「戦犯」の一人とされている。重鎮の岡田氏が民主党の代表に選ばれたことは、民主党が今後大きな調整を行うことはないという印象を与える。これは民主党の議員の「変革」を求める声に合わず、また国民の民主党に対するイメージを回復する上でも不都合だ。岡田氏が地方議員票で51対63で細野氏に水をあけられたことは、一つの危険信号だ。いかに民主党のこれまでの立場を堅持すると同時に、国民の間で「革新」のイメージを樹立するべきか。岡田氏が直面しているのは、矛盾した「不可能な任務」のようだ。
政権与党の自民党との差別化を図るため、民主党は野に下ってからも中国との関係構築に注意してきた。しかし野党としての地位により、その日本政府の対中政策に及ぼす実際の影響力は限られている。政権与党の地位を奪取しなければ、民主党は中日関係でより大きな力を発揮することができない。しかし岡田氏本人も、「安倍政権打倒は容易なことではない」と認めている。選挙に対応するため、岡田氏が率いる民主党は日本の内政問題を、自民党と対決する主戦場にする。今年4月の統一地方選、来年の参院選で、民主党は2つの試練を迎える。この試練に合格して初めて、岡田氏は民主党を順調に前進させることができる。選挙で失敗すれば、民主党はより大きな危機に陥るかもしれない。(筆者:李若愚中国社会科学院日本研究所政治研究室)
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