米国債の売却により、米国の「債務不履行」やドル安といった経済リスクの波及効果が低減する。多くの場合、米国債は引き続き海外資本にとって最も安全な「避難港」であり、米国債を売却する時には、資産価値を維持し、上昇させるためのより安全で保証されたルートを見つけだすことが重要になる。たとえば米国債以外の信用格付けの高い国債を購入する、大口貨物の輸入や備蓄を増やす、成熟した大手多国籍企業の株式を購入することなどが、実行可能な手段の候補になる。人民元の国際化の進展にともない、中国経済に対する米国債の吸引力は徐々に低下している。
中国が保有する米国債は長期的で安定的な増加傾向から売却または購入を柔軟に選択する方向へと変わりつつあり、このことは中米経済関係の発展がますます正常になってきたことを意味する。米国からみて、中国の外為市場に対する干渉は減少している。以前は中国が米国債を購入するにしろ売却するにしろ、いつも米国の政界で経済問題や政治問題だとして注目を集めることになった。中米関係があまり安定していない時には、一連の売却措置が中国政府による経済をてこにした米国政治へのコントロールや報復だとみなされることもあった。2012年の米大統領選では、中国の米国債保有問題が政治や安全保障をめぐる争点とされた。
だが全体としてみれば、中国と日本のどちらが米国最大の債権国になるかについて考えすぎる必要はない。米国の国内総生産(GDP)とほぼ同規模の国債発行額のうち、最大の債権者はなんといっても米国の個人投資家、企業、州政府、地方政府であり、全体の約7割を占める。外国人投資家は米国債市場の最大の推進力ではないのだ。また海外の債権者全体の中で、中日両国は4割程度を占めるに過ぎない。とはいえ、今後相当の期間にわたり、購入するにせよ売却するにせよ、中国と日本が米国にとって最大の債権国の1位と2位を独占することは間違いない。3位のベルギーとの間には保有額で相当な開きがある。
「人民網日本語版」
|