▽国民感情の悪化
私が中国語の勉強を始めたのは、早稲田大学に入学した1977年の春。72年の日中国交正常化から5年後で、まさに日中友好ブームの最中だった。日本の内閣府(旧総理府)は日中平和友好条約が締結された78年から毎年、「外交に関する世論調査」を実施し、その中で「中国に対する親近感」を聞いている。「親しみを感じる」は80年に78.6%と最高を記録した。ところが2014年10月の調査では14.8%にまで低下し、「親しみを感じない」は過去最高の83.1%に達した。
日本の言論NPOと中国英字紙チャイナ・デーリーが05年から日中両国で実施している世論調査によると、中国人で日本に対して「良くない印象を持っている」は13年に過去最悪の92.8%を記録し、昨年はそれに次ぐ86.8%という高さだった。良くない印象を持つ理由としては、尖閣国有化と歴史認識を指摘する声が多かった。
この調査でも、日本人で中国に対して「良くない印象を持っている」は昨年93.0%と過去最悪となり、その理由は①国際的ルールと異なる行動②資源やエネルギー、食料の確保などが自己中心的③歴史問題で対日批判④尖閣対立―の順だった。日本人は尖閣や歴史認識より、中国の一国主義的な行動を理由とする人が増えた。
日中国交正常化後40年余り。両国民相互の感情の悪化ぶりはかくもすさまじい。
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